西岡力会長の「今週の直言」

皆様

 当研究会の西岡力会長が国家基本問題研究所の「今週の直言」にて、国連での歴史戦に関する記事を発表しました。

 以下、国家基本問題研究所のサイトと西岡会長の記事を記載いたします。

国家基本問題研究所「今週の直言」
         【第1365回】高市政権は国連での歴史戦に力を注げ

                   西岡力(国基研企画委員兼研究員・麗澤大学特任教授)

 3月6日、国連人権専門家16人(国連人権理事会が任命する特別報告者7人、作業部会委員9人)が、慰安婦問題に関し「正義・真実・賠償を拒まれている状況に深刻な懸念」を表明し、日本政府に賠償などの実施を求めるプレスリリースを公表した。これら専門家は個人の資格で活動している。

 ●慰安婦問題で日本非難
 これら専門家は慰安婦制度について、少女を含め最大20万人の女性が人身取引、強姦、性奴隷状態に加え、恣意的な自由の剥奪、さらには一部では強制失踪の被害を受けたと一方的に決めつけ、「日本と韓国間の2015年の二国間合意のような従来の解決の試みは、生存被害者中心の正義を実現することに失敗した」と明言した。
 その上で「主権免除(国家は他国の裁判所で裁かれないという国際法上の原則)は、戦争犯罪や人道に対する罪に対する責任を免除する根拠とされるべきではない」とした。元慰安婦らが日本政府を相手に起こした訴訟で2021年以来、韓国裁判所はこの理屈を採用して日本政府に賠償を命じる判決を地裁で2件、高裁で1件下している。日本政府は、主権免除を主張して裁判自体を認めていないが、国連人権専門家はそれを非難している。
 韓国、中国、インドネシアなど6カ国の元慰安婦が救済を求める申し立てを国連人権理事会に行い、それを人権専門家が取り上げ、2025年7月に6カ国と日本の政府に書簡を送り回答を求めた。日本政府は日韓慰安婦合意や主権免除の原則などを論拠に申し立てを否定する回答をした。
 国連、特にジュネーブで活動する人権理事会など人権関連組織は、国家は国民を弾圧するという枠組みを強調し、被害者が自国政府を通さず国連組織に直接訴える仕組みを備えている。
 確かに中国やイランなどの全体主義国家による自国民弾圧はすさまじいものがあり、弾圧のひどい国では国民が国連に訴えることを厳しく監視し、国家を挙げて弾圧はないというプロパガンダを行っている。
 一方、日本を含む自由民主主義国家では、事実を歪曲しても自国を貶めようとする勢力を国内に一定数抱えている。その反国家勢力が国連を活用して自分たちのウソを拡散し、自国政府に圧力をかける活動を行ってきた。日本では1980年代後半頃から部落解放同盟や日弁連などがいちはやく国連での活動を行ってきた。

 ●安倍氏の遺志を継げ
 日本政府は慰安婦について2016年から、「強制連行、性奴隷、20万人」説を事実ではないとする広報を当時の安倍晋三首相の指示で開始した。しかし、今回の専門家への回答ではそのことへの言及がなかった。安倍氏は、国際社会で広まっている慰安婦に関する誹謗中傷に政府として対応すると国会で明言した。その原点に立ち返って、高市早苗政権は、歴史認識問題に関する政府を挙げた取り組みを強化すべきだ。(了)

目次